夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ショパンのプレリュード4番聴き比べがブラジルの風に吹かれる

ブラジルの海岸にあるアントニオ・カルロス・ジョビンの彫像

トリフォノフのプレリュード4番を聴く

ショパンのプレリュード4番は本当にいい曲だなぁ。レッスンでとりあげてもらうとか、ピティナステップで弾くとか、そういう「打算?」は抜きにして、まずは自分でボチボチ弾いて感激することから始めようと思う。

それにしてもこの曲はピアニストによってテンポも表現もまちまちだなぁ。ロシアの若手ピアニストである、ダニール・トリフォノフ(Danil Trifonov)の演奏を聴いてみたのだが、速度がショパンの指定よりずいぶん速く弾いているようだ。ショパンの指定はラルゴだから40-50でしょ、ところがこの方のを私のスマホメトロノームで適宜合わせてみると、75ぐらいでアンダンテなのだ。

YouTubeへの書き込みによると、速いけれどちょうど良い、というのがみつかった。やはり現代人はトロトロしているのが苦手なのかもしれない。

もうひとつ、テンポではないが、特に冒頭で指の腹を寝かせるように弾いているのも気になった。ふーん、ああいう弾き方もするのか・・・でもその弾き方でバッハを弾かないよね、多分?

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カティア・ブニアティシヴィリのプレリュード4番を聴くというか、見る

お次はジョージア出身のピアニスト、カティア・ブニアティシヴィリ。どうもこの方の演奏は「聴く」というより、「見る」になってしまう。ああ、まさにマリリン・モンローを彷彿とさせる豊満な肢体!男の人なら自然と目が釘付けになってしまうのではないだろうか?

テンポはトリフォノフよりいくぶんゆっくりの60くらいで、アダージョに相当するくらい。そして何よりも心惹かれたのは、ピアニシモの繊細さであった。ここまでデリケートに弾けるのか?私なら間違いなく音抜けになってしまう。

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アントニオ・カルロス・ジョビンの「How insensitive」

昨日の記事では、ショパンのプレリュード4番をもとにしてセルジュ・ゲンスブルの「ジェーンB.~私という女 Jane B.」について書いたが、もうひとつ、これよりももっと好きな関連曲について書きたい。ブラジルの作曲家、アントニオ・カルロス・ジョビン(Antônio Carlos Jobin)の「How insensitive」である。

この曲はショパンのプレリュード4番に「似ている」と紹介されているほうが多いと思う。すなわちいわゆる「パクリ」ではない、ということなのかな。ジョビンがあきらかにショパンを意識してつくったのか、それともジョビンはクラシックも勉強しているから、なんとなく似てしまったのか、調べようとしたが大した情報は得られなかった。

私がこの曲を知ったのは、たぶんジャズに凝りだした20歳くらいのことで、後年ショパンの曲だと聞いて、「へぇーそうなんだ」と思ったぐらいだ。音は似ているけれども、受ける印象が違うので、相似点に気がつかなかったのだろう。

ジョビンの曲になるとブラジルの風に吹かれているようだ

あくまで私の印象になるけれど、モトのショパンのプレリュードでは悲壮感、絶望感が諦念にまで昇華されるようだけれども、ジョビンの曲では、何となくブラジルの風に吹かれて、「いろいろあるけれど、もうしゃーないなー」という雰囲気に似ているように思われる。「風の歌を聴け」と言われているような? 

私はジョビンの曲はもちろん、ジョビンのピアノが大好きだ。凝ったフレーズは弾けなくても、彼のようにシングルトーンでトツトツと、でも味わい深いフレーズが弾けるようになるのが目標なのである。

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