ミッシェル・ルグランはむずかしい
きょうのジャズピアノレッスン。
最初はバラードの「What are you doing the rest of life?」を弾いた。
どうだったか?
ウーン、好きな曲なんだけどねぇ。
やっぱりミッシェル・ルグランはむずかしいわ。
彼の音楽は半音使いと転調が特徴だが、「What are you doing~」に関しては、サビでA、そしてG♭に転調する部分がもう独創的すぎて、アドリブでは何を弾いていいのか、わからない。
「わー、どうしようどうしよう」
と思いつつ、何もアイデアが浮かばないうちに、ベースはどんどんさきへ進んでいく(ような気がする)。
「もー こうなったらなんでもかまへんわ」
と焦りまくり、なんのことはない、AとG♭のスケールをちょろちょろと弾いてお茶を濁す。
「あー、もーあかん」
と観念したころに、やっとAmに戻ってくれてほっとする。
Amはまだ弾きやすい。
泣きのメロディーが得意な日本人気質が、私にも沁みついているのだろう。
私のピアノにはフレーズ終止感がない
私の演奏をひととおり聞いた後、師は
「フレーズからフレーズに移るときに、もうちょっと間をあけないかんな」
というようなことを言った。
奇しくもクラシックピアノでも同じようなことを言われたことがある。
バッハ フランス組曲2番クーラントをやっていたときのことだ。
先生がいつも書いてくれている学習ポイントには、
「フレーズの終わりを感じること。慌てない」
とある。
どうやら私はいつも慌てているようだ。
このとき、先生は
「こういうのって性格がでますねぇ」
と言っていただけだったが。
大谷翔平さんのバッティングからヒントを得る
しかしジャズピアノの師から、フレーズの終止感が充分でないことを指摘された私は、信じられないことを言ってしまった。
「あの~ きのう大谷翔平についての番組みたんですけど」
これは昨日放映された「クローズアップ現代」のことである。
「そのなかでね、大谷サンが今シーズン打撃絶好調なのは、バットをあてるミーティングポイントが去年より少しだけ遅いらしいですよ!
だから変化球でも打率があがるようになった、というてました!」
ふつうの人なら、音楽の話をしているときに、どうして野球の話がでてくるのだろう、と不思議に思うだろう。
しかしほとんど2年、お付き合いいただいている師は、私の飛躍した話ぐらいでは動じない。
「見た、見た。
今シーズン、彼は『待てる』ようになったんやな。
そやからあんなに打てるんや」
間に気をつけたら「I love you」は合格した
要するに、彼のバットがボールにあたる瞬間が、以前よりも0 コンマ何秒遅くなったのか知らないが、私のピアノも次のフレーズに移るときに、若干間をおいたほうがいいのではないか。
「アイデアがないからどうしよう」
「何を弾いたらいいかわからないが、とにかく何か弾かないといけない」
と焦ったとき、そこで止まってしまうひともいるかもしれないが、私はとにかく悪あがきするタイプである。
溺れそうになると、ひたすら手足をバタバタさせてしまうのと同じだ。
しかし天下の大谷サンを例にするとは畏れ多いね。
でもこれをヒントに、次の曲「I love you」を弾くと、
「これでいい、これでいい。
もう、この曲はあがりにしよう」
アンサンブル練習会を待たずに次の曲に移ることになった!
ああ、クラシックピアノもこれぐらい、とんとんと進めばいいのだがなぁ。
下は私がお手本としているピアニスト、柳原由佳さんのトリオで「I love you」