「さよならをもう一度」は「ブラームスはお好き」
フランスの作家、フランソワーズ・サガンの小説「ブラームスはお好き」(原題:Aimez-vous Brahmes)が映画化されたものが、「さよならをもう一度」(原題:Goodbye again)である。
なんかややこしいなぁ。
私はただ、この映画のテーマ曲は、ブラームス交響曲3番第3楽章を下敷きにしたものであり、それがすごく素晴らしくて、もしピアノでひとりで弾きたければ、ぷりんと楽譜に複数楽譜はあるが、いいのは石川さんの編曲だよ、ということが言いたいだけなのだが。
「さよならをもう一度」=「ブラームスはお好き」のあらすじ
映画の「さよならをもう一度」についてはずいぶん前に記事にしている。
なぜかたまには読んでくださっているかたがいるらしく、ときおり本ブログのアクセスランキングに顔を出してくれるのが嬉しいところである。
kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com
このストーリーをしごく簡単に説明すると、中年男と14歳年下のイケメン男とのあいだで揺れ動く39歳の女性の心の綾をつづったもの、でいいだろう(しかし今思うと全然ショッキングではない。時代は変わったのだ)。
ブラームス交響曲3番第3楽章の楽譜と演奏動画
私はこの映画に使われたブラームス交響曲3番第3楽章が大好きで、現在休刊中の「ピアノスタイル」という雑誌に、このアレンジ譜が掲載されたときには狂喜した。
今はぷりんと楽譜で買えるようだ。
ぷりんと楽譜には複数のアレンジがあるようだが、私は石川さんというかたの編曲が気に入っている。
そういえば、かつては「ピアノスタイル」やぷりんと楽譜でちょこちょこ楽譜を買って下のようにクリアファイルに整理していたなぁ。
ピアノの模範演奏はこちら↓
オリジナルはこちら↓
若き日のブラームスのイケメンぶりが見られる。
原作にはないブラームス交響曲3番第3楽章
ところで原作の「ブラームスはお好き」には交響曲3番第3楽章とはまったく書かれていない。
だから交響曲3番第3楽章が選ばれたのは、映画の製作陣のおかげなのだ。
よかった。
これが交響曲1番なら、映画の雰囲気もずいぶん変わったのではないか。
しかし私は原作者のサガンは、本当は1番を思い描いていたのではないか、というのが私の深読みである。
なぜなら、朝吹登美子氏の翻訳では、
それはシモンに聞き覚えのあるコンチェルトだった。ちょっと悲壮な、ところどころ、ちょっと悲壮すぎるコンチェルトだった。
とある。
ひさびさに原文をひっぱりだしてみると、
C'était un concerto que Simon pensait reconnaître, un peu pathétique, un peu trop pathétique par moments.
pathétique=悲壮かもしれないが、3番3楽章を悲壮というにはちょっと言い過ぎという気もするからだ。
でもまあいい。
音楽と映像がぴったりマッチした映画は、不思議なことに絶対に忘れないからだ。